仲介手数料のディスカウント
2011年07月03日
世の中には色々な不動産業者が出没します。「キャンペーン期間中に売却を依頼した場合、成約時にかかる仲介手数料をディスカウントします」や、中には「売主さんから手数料は頂きません」という業者まで現れています。そしてそういう業者に売却を依頼して大失敗をしている売主さんの話を良く聞きます。なぜ、売主さんはこの様なディスカウント業者の甘言に乗せられてしまうのでしょうか。
誰でも無駄なお金は払いたくないですよね。そこに本来ならかかる不動産業者に払う手数料をディスカウントするとか全く掛からないとか言われるとつい乗っかってしまうのでしょう。しかしそれは売主側から見たら得のように見えますが仲介をする業者から見たら全く違うものに写るのです。
不動産業者は仲介手数料を稼ぐ事を生業としています。仕事ができるかできないかはこの仲介手数料の多寡によって決められるのです。仲介手数料を多く稼ぐ社員は仕事ができ、稼いでくることができない社員は仕事ができないとされます。そのような環境で仕事をしている訳ですから営業マンは少しでも多くの手数料を稼ぎたいと考えています。ですから出来る営業マンは仲介手数料をもらえない、あるいは少なくなる仕事は排除します。それが不動産流通業という業界なのです。その一番大切な仲介手数料を売主から手数料を貰わないとなるとそれはその業者の両腕をもぎ取るような事なのです。何故そんなことをしなければならないか・・・それは力がないからです。そうしないと物件が集まらないのです。両腕を自らもぎ取ったディスカウント業者は買主を直接見つけてくるしかありません。なぜなら他業者は買主からの手数料をディスカウント業者と分け合うような条件の部屋を案内しないからです。極端に販売方法に制約が付いた物件が販売に苦戦するのは当然です。
都内のマンションを購入する方の半数以上は買い替えになります。それも売ってから買うのではなく良い物件が出てきたから買い替えるわけですから「今持っている物件がいくらで売れるのか」「売れなかったらどうするのか」等多くの不安を解消しながら買主さんをサーポートしなければ買主さんは購入に踏み切れません。銀行ローンのノウハウ(これも大切な要素です)、税務知識、場合によっては仲介業者の体力までも必要となってくる売買の仲介に手数料をディスカウントする実力のある業者など存在しません。
売主さんにとって大事な事は仲介手数料を値切る事ではなく、手数料をきっちり払ってできる不動産業者の営業マンを使い走らせる事です。できる営業マンは忍者のように縦横無尽に走り回りますよ。全ては成約のために。