比較に向かない住まい選び
2010年06月04日
皆さんは何かの購入を検討しているとき、決断力のある方ですか?それとも無いほうですか?特に不動産と言う大きな買い物をするときにはその傾向はよりはっきり現れます。決断力の無い人は良い物件に出会っても迷ってしまい決断に躊躇しているうちにその物件を他の人が購入するとか次の新しい物件に出会い、またそこで比較し決断を躊躇しているうちにまた違う物件を見学に行き迷い・・・・の繰り返しになり結局買えないのです。まあそれが趣味ならそれはそれで良いのですが。
でもせっかく「買おう」と思っている人にとっては不幸な事です。
なぜそうなるのか?たとえば10種類以上のドレッシングを試食してどれが一番おいしいかを選ぶとします。皆さんは選べますか?私は到底選べません。なぜなら最初に試食した味を忘れてしまいます。たとえば試食して1番目と3番目がおいしかった気がしたけどもう一度食べてみると最初食べた感覚と違う、あれ4番目だっけと考えているうちに選ぶ事自体投げ出してしまいます。味を比べることが出来るとしたら3〜5種類が限界ではないでしょうか?おそらく人間の能力の問題なんでしょうね。微妙な味の違いを認識できる能力には限界があるのでしょう。(大体、私の舌が鈍感だと言う説も有りますが・・・)家電製品でもそうですよね。比較ドットコム等というサイトがありますが3種類くらいの比較なら出来ますが、10種類以上の中から選ぶとなると何がどう違うのか良くわからなくなり、結果面倒くさくなって家電量販店に行って担当者に購入目的を伝え3種類くらいに絞り込ませてその中で選びませんか。不動産も全く同じです。同時に3つ位の物件を比較する事ならできますが、それ以上になるとそれぞれに長所短所があって理屈の上では優劣が付けられなくなります。そしてもう一度部屋に入ったときの感じを思い出そうとして再内見しようとするとそれが売却済みになってしまう。そうすると次の物件を見たときに「良いな」と思っても売却済みになった物件の良く覚えていないイメージに引きずられて迷ってしまい決断できません。そしてまた新たな物件を内見し見すぎてしまって余計迷い、取りあえず購入をペンディングにします。これを繰り返すんです。もちろん不動産は家電製品と違い大きな買い物です。しかし、大きく違う事は、家電製品は同時に比較できますが、不動産は時間と言う壁があります。それこそ「世界に一つだけのもの」ですから売れてしまえばその同じ不動産がすぐ市場に出回る事はありません。ですから不動産の購入、特に中古購入には比較は向きません。一軒一軒買うか買わないかの勝負なのです。以前見た物件との比較ではなく今見ている物件に住みたいかどうかの・・・・
鴨長明の「方丈記」の冒頭の一文です。
行く川の流れは絶えずして、しかも本の水にあらず。
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しく止まることなし。
世の中にある人と、すみかとまたかくのごとし。
そんなものだと思って肩に力を入れず自然体の中で探しましょう。