胡散臭い話
2010年05月20日
不動産業についているせいなのか本当に胡散臭い話が数多く舞い込んできます。どう考えても売り物にならない話や、「たられば」が３つも付いてはじめて買える買主の話を持ってきたり、はたまた不動産と全く関係の無い特殊な塩を売りにきたりとバラエティーに富んでいます。普通の精神状態では到底信じられないような話なんですが・・・こういう話に乗ってしまう人がいるのです。お金にまつわる話は何時の世でもこの様な話が出回るものです。
しかし人はどうしてこういう胡散臭い話に引っかかり騙されたり、また損失を被ったりするのでしょうか。実は私もそういう話に騙された経験が何度もあります。しかもその最初の経験がなんと大学入学のために上京した東京駅構内でした。新幹線で東京に出てきて着いて１０分でいきなり騙されたのです。母親がトイレに行っている間私が駅構内で待っていたのですが、この時アンケートを採っているという青年に声をかけられアンケートに答えるはずが、いつの間にか首都圏の全民宿で使えるという宿泊割引券の話になり結局３０００円で買わされてしまいました。後で調べてみたら使えると称する民宿はもう存在しないか、はじめから無かったのかとにかく全く使用する事ができませんでした。騙したほうからしたら良いカモに見えたのでしょうね。それ以来、社会人になるまでに単なる英語の教材テープ、リゾート会員権付きの英語の教材のレーザーディスク、サイドビジネスの入り口としての宝石の購入等、よく騙されました。すべて３０〜５０万円位したと思います。中にはローンが通らなくてキャンセルできたものもありましたが（お恥ずかしい話です）。断っておきますが、私がここで騙されたと言っている事について語弊があるといけませんので解説致します。東京駅で買わされた宿泊割引券は明らかに詐欺なんでしょうが英語の教材などの商品は間違いなく存在しますし、決して粗悪な製品と言うわけではありません。問題は売り方です。本来ある商品（英語教材や宝石、パソコンソフト）を売ることが目的なのにそれを隠し、さも多くのサービスの特典にあずかれる権利が当たったと勧誘して通信費の自己負担等、経費の前払い？と称して販売された事を「騙された」と表現しています。有名なテニスクラブやゴルフ場を会員価格で利用できる権利が当たったなんて言われ舞い上がっている内に契約させられるのです。こんなものをまともな売り方とは到底言えませんからあえて「騙し売り」と申し上げています。購入後、そのようなサービスはほとんど存在しないと知ったときのショックは口では言い表せません。
騙される原因は何なのか？まずは無知からくる部分が大きいです。ある程度の社会経験を積めば大部分防御できるのではないでしょうか。もう一つ、それは虚栄心の強い人も引っかかりやすいのではないでしょうか。自分にはそんな実力が無いのに実力以上に良く見せたいと言う気持ちに付け込んでその気持ちをくすぐるのです。私はズバリこのタイプでした。しかし、まあこの経験は悪い事ばかりではありません。やはりこういう経験は生かされます。こんな失敗を学生時代に積み重ねる事により免疫が出来たのか社会人になって自分の将来を左右するような騙しには一度も捕まったことがありません。こんな言い方をしてはまずいのかもしれませんが敢えて申し上げます。お金で済む騙しはまだマシです。お金ですまない人生までも狂わせる騙しもあるのです。そうなったらそれこそ取り返しが付きません。
だからと言って何も信用できない世の中では有りません。「世の中にはおいしい話など無い」とよく言いますね。でもそれは違います。有ります。間違いなく有ります。少なくとも私の短い社会人生活の中でも幾つか有りました。しかし、その「おいしい話」はその全てが「大変な数の信頼」の上に成立するものです。一朝一夕に来る話ではありません。その意味では無いのではなく、大変な努力の積み重ねが必要なんです。
我々は昔話で、「大きなつづらと小さなつづら」を選択するシーンを何度も聞きました。大きなつづらを選ぶ人は必ず損をします。「損して得取れ」と言うことわざもあります。我々の先人たちの金言を忘れてはなりません。結局のところ、目に見えた得は得ではなく、目に見えた損は損ではないのですね。試練と言う名を借りたチャンスがあり、チャンスと言う名を借りた悪魔が潜んでいる事を忘れてはいけません。心したいものです。
