李下に冠を正さず
2014年11月10日
先日、水泳の元日本代表選手がアジア大会で記者のカメラを盗んで逮捕起訴された件で、無罪を主張し記者会見をしていました。この記者会見を聞きながら頭に浮かんだ言葉が冒頭の「李下に冠を正さず、瓜田に靴を入れず」という故事です。
スモモの木の下で冠を直していると、遠くから見たらまるでスモモを盗んでいるように見える。また瓜の成っている田で靴紐を直していると遠くから見たら瓜を盗んでいるように見える。疑わしい行動はとるべきではないという意味の故事ですがまさにあの選手に投げかけたい言葉でした。
彼の言っていることがすべて事実だとしても、結果からいえば「盗んだ」と言われても仕方ない行為です。見ず知らずの人が自分のバックに壊れたカメラを入れたのを目撃しておきながらその場でカメラをバックから取り出しもせず宿舎に持って帰る行為は窃盗といわれても反論できません。またカメラを「ゴミだと思った。」など、そんな詭弁が通るはずがありません。
例えば、痴漢の問題でも私も含め一般の良識ある男性は満員電車の中で痴漢に間違われないようにとても気を使っています。できることなら鞄は網棚に置き、片手は本を、片手はつり革をつかみ、両手がふさがっていることを周りに見せる、出来ない場合であっても両手が女性の体に触れることがない位置に持っていくという工夫を常にしています。なぜなら偶然にでも女性の体に触れたらそれを「故意に触った」といわれても仕方ないからです。一部の不心得者のせいでこんなことをしなければならないのは情けない限りですが、しかしどんな場合でも、一般的に良識のある人はいつも他人から見て疑わしい行動をとらないように気を付けています。日本は法治国家です。法を犯すと罰せられます。逆を言うと法さえ守れば裁かれることはありません。しかし、その法律も完全に白、黒と分けられるわけではなく限りなく黒に近い白もあればその逆もあります。白に近い黒は、黒でしょうが、黒に近い白は黒に近くとも、白だから良いという考えは良識的に私は間違っていると思います。
最近の国会議員や地方自治体の議員の釈明会見を見ていても「疑わしいけど、法律には違反していない」とうのは犯罪の線引きでは正しくとも、国民、市民の代表としての公僕としてはおかしいと言わざるを得ません。「やっていないけど、疑わしい行動はやはり間違っている」それが言える代表であってほしいです。
余談ですが、議員の足の引っ張り合いは国会開催中禁止にすることは出来ないのでしょうか。国民の政治離れの一番の原因だと思うのですが。